第1章━〔1〕


時は戦乱の時代。
力がすべてだった。
力がある者は上に上がり力の無い者は下に下がる。


そんな時、クラウスは思いもしなかった出来事が起きる。


静かな太陽の光がさす部屋でクラウスは愛用の剣を研いでいる。
「明日がレクス軍との決戦の日か」
剣に光をあて刃を確かめると鞘に剣をおさめた。
「明日勝てば、世界は我がブロンズ軍の手に」
息を吐くとクラウスは書斎部屋へと向かった。
書斎部屋は気が狂うほどの資料があり、床一面に敵軍の情報が書いてある書類が散らばっている。
椅子に座ると羽ペンを取り出し和紙にクラウスは文字を書き始めた。
「今日は、最後の日記になるのか・・・それとも、まだ日記は続くのか」
ブロンズ軍である将軍のクラウスが死ぬかレクス軍の将軍が死ぬか、そのどちらかしか結果はなかった。
「だが、我が軍は負けるわけにはいかないのだ」
「そうだ、その自信で突き進め」
クラウスと同じ青年の声が廊下から聞こえた。
その青年は軽くノックをすると書斎部屋に入った。
金髪の長い髪が腰の辺りまで垂れていた。
「明日で俺達の運命が決まる。頼んだぜ親友よ」
「よせよ、フェイト」
微笑するとクラウスは前髪を手で寄せた。
「明日は共に戦おう」
金髪の青年、フェイトは剣を鞘から抜きクラウスに差し伸べた。
同じ様にクラウスも椅子から立つと剣を鞘から抜きフェイトの剣と交差させた。
「よろしくな」
お互いに笑いあうと剣を収めた。
「それじゃ」
手を上げるとフェイトは書斎部屋を出て行った。
「今日はゆっくりと休むか」
日記を書き終わるとクラウスは自分の部屋に入りベットに寝転んだ。
「血が飛び散るのは明日で最後にしよう」
そう言うと静かに目を瞑った。
緊張と不安から開放される。


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