第1章━〔2〕


朝から戦闘の準備が行われていた。
兵士は鎧を身に付けると鋭い刃を持つ剣を腰に装着した。
馬を出す兵もいた。馬は黒、茶、赤などといろいろな色がある。
祭りの様な賑やかさの中、クラウスはただ精神統一をしていた。
暫くの間、精神を統一させているとフェイトの声がした。
「クラウス、今日はどういう作戦で攻めるんだ?」
自分の剣を見つめながらフェイトは聞いた。
「全力で・・・ただそれだけだ」
クラウスは作戦とはいえない作戦を口に出した。
「最後にふさわしい作戦だな」
それでも、フェイトは笑った。なぜなら、クラウスの一番の理解者であったからだ。
これまでの戦いでもフェイトとクラウスは絶妙なコンビネーションで軍を倒してきた。
「じゃあ、俺も準備をするか」
クラウスは、そういうと立ち上がり大通りに出て兵士に指示を出した。
「作戦は、全力で戦うだ!!準備を終え次第配置に着け!!」
青年だが、その歳を感じさせないほのど冷静差、行動力、軍を一つにする力があった。
クラウスは指示を出すと武器倉庫に行き、弓、爆弾を持ち出すと将軍用の頼もしい馬『戦乱』に乗った。
馬は深い青色で毛の色は赤だった。幻想的な物を人々に感じさせ、世で一番美しい馬の種類とされている。
更に、スピードも上位となって戦闘にも多く使われる。
「頼むぜ・・・」
戦乱の頭をなでるとクラウスは戦乱の上に乗り、ムチを叩いた。
勢いよく戦乱は城門に向かって走り出した。
城門のたどり着くと、すでにレクス軍はブロンズ軍の城の前で戦闘体制を整えていた。
だが、少したりともうろたえることを無くクラウスは冷静に指示を出した。
「一気に行くぞ!!大砲も最初から撃ちまくれ!!」
周りが了解の合図を出すとクラウスは、ほら貝で出来た笛を鳴らした。
その瞬間、大量の兵士達が前進し始めた。
レクス軍もそれを合図とし、城に向かって走り出して来た。
一瞬のうちに矢の雨が降り注ぐ戦場と化した城前に風が吹く。
「クラウス、前は任せろ!!」
そういってクラウスの前に出てきたのはフェイトだった。
フェイトは爆発の中を潜り抜け前進した。
レクス軍の兵士に近づくにつれ、クラウスの周りの兵士は矢の雨の餌食になって行った。
「爆弾を投げろ!!」
レクス軍との距離が後、数十歩になるとクラウスは叫んだ。
その合図と同時に爆音が鳴り響いた。
「はぁっ!!」
クラウスはレクス軍の兵士に向かって弓を放ち、すぐに剣を取り出して斬り刻んだ。
「もっと攻めろ!!」
クラウスの剣はすでに、血塗れになっていた。
そして、辺りも血まみれになっていた。


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