第4章━〔10〕
ベテルギウスの再生力が鬼の様に早まったのだ。
そして、瞬きを四、五回する内にすべての再生が終わった。
「何で、今更スピードが上がるのよ!!」
リサは杖を床に叩きつけた。
「嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ!!」
リサはベテルギウスを鬼の様な目で睨みつけ再び杖を取るとベテルギウスの目に杖を向けた。
「ホーリー!!ウィンド!!ウォーター!!フレア!!ブリザード!!ビーム!!シグナル!!」
リサの口からは次々に呪文が吐き出された。
すべての呪文が絡み合ってベテルギウスの目に飛ぶ。
だが、目にあたっても跳ね返されるだけだった。
「何でよ!!何で跳ね返すのよ!!」
リサは完全にパニック状態に陥った。
「はぁああ!!」
リサはベテルギウスの目に向かって飛び込んだ。
そして、ベテルギウスの目を何度も杖で突き刺した。
「刺され!!」
だが、まったく杖は歯が立たなかった。
やがて、刺せもしない所に突き刺しすぎたのか杖にヒビがはいった。
リサはそのヒビを見て更にパニック状態に陥った。
「ウアァアアアアアアア!!」
彼女は更に激しく杖を突き刺した。
だが、
リサの力に耐え切れなかった杖はついに砕け散った。
リサは砕け散る杖を見て跪いた。
「嘘でしょ・・・杖が杖が・・・」
リサは杖の破片を手で集めた。
「杖ななくちゃ呪文が・・・杖は一人の魔法使いに一本しか与えられないの・・・」
リサはそこがベテルギウスの瞳の上だということを忘れて破片を集めた。
必死に集めた。
「杖がなくちゃ・・・杖がなくちゃ・・・杖が・・・杖が・・・杖がぁああああ!!!」
リサは叫び声を上げベテルギウスの瞳から転げ落ちた。
そして、体制を立て直す間もなく地面に背中から叩きつけられた。
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