第4章━〔9〕

すると、さっきまではまったくと言っていいほど攻撃がきかなかった皮膚に突き刺さった。
「ッギュォォオ!!」
ベテルギウスは叫び声をあげた。
「そうだったのね。この硬い皮膚を突き破ることのできるのは本人だけだったのね。」
リサは牙を見ると強くその牙を握り締めYシャツのポケットにその歯をしまった。
ベテルギウスの傷口からは体液がどんどん噴出し止らなかった。
だが、しばらくすると傷口はあっという間に塞がり元通りになった。
怒りに燃えたベテルギウスは一つ目を充血させリサを睨み付けた。
リサはその一つ目に脅えながらも笑い馬鹿にした。
「怖くないわよ?」
リサは今までも笑うことで気持ちを落ち着かせていた。
これは彼女なりの心の治療でもあった。
笑うことで自然と怖い気持ちがなくなりいい気分になってくる。
ベテルギウスはその笑いに怒りを感じたのか更にその一つ目が充血した。
「へぇ、ただの化け物の癖に感情があるんだ。」
リサは自分の声を合図の様にしてベテルギウスの手に飛び込んだ。
そして、空中で牙を取り出した。ベテルギウスの手の上に乗ると牙を突き刺し、もう一本の手に向かって走り出した。
もう一本の手に乗るとリサは再び牙を突き刺した。
「ギュッガァァアアアアアアア!!]
ベテルギウスは悪魔の様なうなり声を上げた。
ベテルギウスの両腕からは噴水の様に体液が飛び出す。
だが、ベテルギウスはこれでだけでは死なない。
彼は手を再生し始めた。傷口は見る見る塞がり噴水の様に飛び出していた体液もおさまった。
「再生ね。すごいわよ。でも、遅い!!」
リサは力の限りでベテルギウスの腹を牙をナイフ代わりにして裂いた。
ベテルギウスの腹の中から腸などの器官が剥き出しになった。
リサはそれを少し眺めると胃に向かって牙を突き刺した。
「出て来い!!」
胃の傷口からは大量の胃液とベテルギウスが食べた物が飛び出した。
そして、そこからリサの杖も出てきた。リサはその杖を手に取ると杖を胃の牙が刺さった所に向けた。
「ジャッジメント!!」
呪文を唱えると杖の先から千本をこえるほどの光のビームが飛び出した。
そのビームの一本一本は細いが密度がすさまじかった。
ビームは胃の中に入るとベテルギウスの至る所から光のビームが出てきた。
彼は一瞬の内に蜂の巣の様に穴だらけになった。
「これで再生はきかな・・・えっ。」
笑っていたリサの顔が急に青ざめた。
「嘘でしょ。」
リサが驚くのも無理はなかった。



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