第2章━〔1〕
次の日、昨日の特訓が体に響いたのかワタルとリサは共に学校に遅刻をした。
学校に行くと先生に怒鳴られ廊下に立たされた。だが、それがリサにとっては嬉しい。
ワタルがいるからだ。ワタルはそんなリサの気持ちに答えるところか気づいてもない。
リサはそんなワタルの魔法使いになる前を思い出した。
─私のことをウザいとか言ってたっけ
─私のありがとうって言ってくれたっけ
いろいろな事を思い出したがリサにとってはワタルが魔法使いになってからの方が印象に残っている。
─ワタルが素直になったから・・・
そんなことを考えながら一人で笑っているとワタルが話し掛けてきた。
「一人で笑って大丈夫か?」
「ううん、何でもない。」
「そうか。」
会話が途切れるとワタルは前を向き何かを考え始めた。そして、慎重な様子でリサに話し掛けた。
「中間テストっていつだっけ?」
「一週間と三日よ。」
「やばっ、勉強してねぇ!!」
「大丈夫。私も勉強してないから。最近、闇の住人が多くてね。」
「でも、お前は天才型だから。俺は馬鹿なんだ!!」
「じゃあ、特殊魔法を使って頭の能力をあげれば?」
「そんな便利な呪文まであるのか!!」
「元は戦略型の魔法使いをより戦略型にする呪文だけどね。」
「よし、やってみるか。」
「一応、廊下に立たされてるんだから静かにね。また怒られちゃうから。」
「わかった。」
そう言うとワタルは杖を召還した。
「ジーニアスって呪文よ。」
「わかった。ジーニアス!!」
だが、何も起こらなかった。
「呪文間違えてんじゃないか?」
「そうかなぁ?」
リサは魔法の書を開いて調べてみた。
「やっぱり、合ってるわよ。」
「じゃあ、もう一回。ジーニアス!」
だが、やはり何も起こらない。
「ワタルに合ってない呪文らしいね。」
リサは苦笑いしながら言った。
「もういい!!」
ワタルはいじけてその場に胡座をかきはじめた。だが、その瞬間にチャイムがなった。
チャイムが鳴ったと同時に先生が教室から出てきた。
「お前は何で胡座をかいているんだ!!もう一時間廊下に立ってろ!!」
「え?」
ワタルはリサの顔を見た。
「そうゆうこと・・・」
リサは苦笑いしながら教室に入っていった。
「ますます勉強できねー!!!」
ワタルは泣きべそをかきながら大声で叫んだ。
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