第2章━〔3〕


その日の帰り、ワタルとリサは二人でリサの家に向かっている時、ワタルはリサに話しずらそうに話し掛けた。
「今日、なんで急に泣いていたんだ?」
「何でもない。」
リサはまた笑って答える。だが、その笑いに悲しみを隠しきれてはなかった。
「お前、何かあっただろ?」
「別に?」
誤魔化す。だが、誤魔化し切れない。
「嘘つくなよ・・・俺はリサの仲間だろ。友達、そして魔法使い同士という関係だろ。隠すなよ・・・」
ワタルはリサの肩を強く抑えた。
「隠し切れないか・・・わかった、私の部屋についたら話すよ・・・」
リサはそう言うと黙って歩き始めた。
リサの部屋につくと、いつも場所にワタルは座った。そして、タイミングをはかって聞いた。
「で、隠してることってなんだ?」
「実はね・・・」
リサは話す前から涙が溢れていた。
「私が魔法使いになる前にね、闇の住人に私の家が襲われたの・・・私はその時怖かった。
だから、私はベットの下に蹲って隠れてたの。幸い、私は闇の住人に見つからなかった。
そして、私は闇の住人が消えた後、部屋中を周ったの。どの部屋もめちゃくちゃにされていたわ。
そして、私はリビングに入った時見てはならない光景を見てしまったの・・・
リビングにはお父さんとお母さんが血まみれになって・・・横たわっていた・・・」
リサは苦しそうに涙を流しながら話していた。ワタルはリサを苦しそうに見つめて話を聞いていた。
「私はその時、絶望を味わったわ。今まであった事の中で何よりも悲惨で怖かった。
私は頭を抱えて倒れこんだの・・・・・・・・・・そして、数時間たって私の意識は戻ったの。
私は立ち上がった。すると、目の前に黒い何かで包まれた男に人がいたの・・・
その、男の人は私にこう言った。
「両親を殺した奴に復讐をしたいか?」
私は迷わず頷いた。すると、男の人は杖から光を出したの。その光は私の体の中に入っていった。
その時、私は不思議な力を感じたの・・・力がみなぎってきた。私は自分の手を見ながらその手を握り締めた。
そして、私は男の人にありがとう・・・と言った。でも、その時にはもうその人はいなかった。
それから、私は猛特訓をしたの・・・」
リサは話終わるとワタルに抱きついた。ワタルはそれに反応できず固まっていた。
そして、リサは抱きついたまま話を続けた。
「その事件からね・・・私はすべて・・・この世でおきる事をすべて運命だと信じ続けた。
お父さんとお母さんが殺された事・・・男の人が魔法の力をくれたこと・・・
そして、私がお父さんとお母さんの復習をする・・・だから、改めてお願いする。
私と一緒にイグの計画を止めよう・・・」
リサはワタルと目を合わせた。
「いいよ・・・リサのすべてを奪った奴等は許さない。絶対に・・・」
ワタルは力強く言った。
「ありがとう・・・好きだよ・・・ワタル・・・」



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