第2章━〔4〕


ワタルはリサの言った言葉に返事は出来なかった。
しばらく黙っているとリサはとたんにワタルから離れた。
「ご・・・ごめん・・・こんなことしちゃって・・・」
「いやっいいよ。リサの過去はよくわかった。そしてリサが戦う意味も・・・」
「理解してくれたんだ・・・ありがとう・・・それじゃあ、特訓始めようか。」
「そうするか・・・」
ワタルが返事をするとリサはいつもの様に呪文を唱え練習場に使っている花畑にテレポートした。
「じゃあ、また本を見て呪文をうってね。今日は新しい呪文に挑戦しようか。」
「じゃあ、行くぞ。ウッド!」
呪文と唱えるとリサの立っている地面から大きな木がはえた。
リサはその木を避け呪文をうった。
「ファイア!」
呪文を唱えると炎は木を燃やした。ワタルはその光景をただ見ているだけだった。
「まだ教えてなかったね。呪文にも相性があるの。」
「そうなんだ・・・」
「じゃあ、相性を教えるね。」
ワタルはメモとペンを取り出した。
「準備がいいのね。じゃあいくよ。火は水、水は電気、電気は木、木は火、光は闇、闇は光、氷は風。風は氷、無属性は弱点無し。」
ワタルは一つ一つ丁寧にメモを取った。
「わかった。覚えとくよ。」
「じゃあ、再開しようか。今度から私から呪文を出すね。」
ワタルは防御体制に入った。
「ウォーター!!」
ワタルは魔法の書を読み水に得意な属性の呪文を探した。
「これだ!シグナル!!」
呪文を唱えると天からリサの放った水に雷が降った。雷は一瞬で水を消し去った。
「なるほど・・・これは便利だ!」
「じゃあ、次の呪文行くよ!ダブル・ホーリーウィンド!」
呪文を唱えると光がリサの杖に集中しワタルめがけてその光が解き放たれた。
そして、その光は風と融合し、さらに威力が増した。
ワタルは魔法の書を見ようとしたが風と光、両方に強い属性がないことに気づいた。
(どうする・・・どうするんだ!!)
ワタルは焦りながらも考えこんだ。だが、自分に迫ってくる呪文に気を配られ考えることに集中できなかった。
「ダブルって最初に言ってその後に呪文を二つ言うの!!!」
リサの声が聞こえた。ワタルはリサを信じ呪文を放った。
「ダブル・ダークフリーズ!!」
呪文を唱えると黒い氷でできた無数の槍がリサの放った呪文を貫いた。
「マスターできてるじゃん!」
リサは笑いながらワタルを褒めた。その姿からは先ほどまでの暗い顔はまったく感じられなかった。
ワタルはリサの笑顔に答えようとするが、先ほどの暗い顔を思い出すと答えられなかった。
「どうしたの、そんな暗い顔をして?」
リサが聞いてくる。だが、問い詰められると問い詰められるほどワタルはリサの暗い顔が頭から離れなくなっていく。
「ワタル?」
ワタルは言いたいことを言いたかったが言えなかった。ワタルは少し考え込むといきなり話を切り出した。



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