第2章━〔7〕
ワタルのクラスはテスト前とは言えないほど緊張感がなかった。
だが、クラスメイトはこの状態を望んでいる。楽しいからだ。
学校は楽しいのが一番という考えを誰もが持っていた。そして、ワタルもこのクラスを嫌ってはいなかった。
大好きな人リサ、ちょっと暑苦しいけど根はいい奴カズキ。ほかにも個性的なキャラがたくさんいる。
そして、リサもこのクラスが大好きだった。リサはクラスでも明るくて人気者だったのでいろいろな人が寄ってくる。
リサはそれがとても嬉しかった。そして、何よりもワタルと話せるのが幸せだった。
だが、一つ問題があった。昨夜のことで少し話しにくかった。
だが、ワタルもリサも笑いながら話している。
その光景はまるでどこかの恋愛マンガの様だった。だが、周りはその光景をあまり愉快には思っていない。
皆、嫉妬しているのだ。だが、ワタルもリサもそれを無視している。
二人とも周りから何を言われようが二人でいれればよかった。
朝の悲劇のHRからしばらくして昼休み、ワタルとリサは二人でご飯を食べていた。
二人が食べていたのはリサの手作り弁当だった。おいしい。料理としてもおいしい。そして、何よりも愛情がこもっていた。
ワタルとリサはご飯を食べているとそれを断ち切る様にリサの友達のアキとミキとエリがやってきた。
「ねぇ、リサ。今日の放課後に体育館の倉庫に来て。秘密の話があるの。」
「わかった。」
リサはアキ達と顔をあわせずに適当な返事をかわした。リサが返事をするとアキ達は廊下に出て行った。
瞬間、何かをたたきつけた様な大きな音が聞こえた。ワタルは廊下を恐る恐るのぞいて見るとアキが窓を叩いていた。
聞こえないがアキ達は何か話していた。何かイライラしている様子だった。
「リサ、長瀬達何かキレてるぞ?」
「えっ?そうなの?別に私は何もしてないよ?」
リサはまったく予想がつかなかった。
「じゃあ、いいか。」
「うん、いいよ。それより、あーん。」
「おっおい。」
ワタルは顔をリンゴの様に赤くした。そして、同時にクラスメイトの視線がワタルとリサに集まる。
「は、恥ずかしいからやめろよ・・・みんなだって見てるし・・・」
「もー。」
リサは顔を膨らませるとワタルに食べさせようとしたおかずを自分の口に放り込んだ。
すると、周りの視線が元の位置に戻った。ワタルは安心し息を吐いた。
「そんな照れないでよねー。」
リサがおちょくる様に笑った。
「ふざけるなよ・・・」
ワタルはリサと目を合わせないように下を向いた。
その教室からは平和を感じられた。そして、リサは何事もなかった様にワタルと笑いあった。
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