第2章━〔9〕


「ごめん・・・昨日はごめん・・・本当にごめん・・・」
ワタルは更にリサを強く抱きしめる。
「ワタル・・・」
「俺、自分の本当に言いたいことがいえなくて・・・急にあんなことを・・・」
「・・・」
リサは黙ったままだ。でも、ワタルは話を続ける。
「俺、うまく感情を表に出せなくて・・・あんなこと、本当はいうはずじゃなかったんだ・・・」
「わかってる・・・私もおかしいと思った・・・」
「だから、あの時言いたかったことを言う・・・誓うよ。俺はリサを悲しませない・・・リサを守る・・・リサ傷つけない・・・
リサに何かする奴は絶対に許さない・・・そして、絶対にリサを守り通す。」
リサは涙がさらに出てきた。悲しみの涙と嬉しみの涙が交じり合う。
「ありがとう・・・ワタル・・・」
「じゃあ、これからも一緒に戦おう・・・イグの野望が消えるまで・・・」
「うん。」
リサは強くうなずいた。
「それと、もうひとつ・・・」
「何?」
「俺、今まで自分でも気づかなかったけど・・・」
「ちょっと待って・・・」
リサはそう言うとワタルと目を合わせた。
「続き言って・・・」
「リサのことが好きだった・・・リサと話していると楽しい。嬉しい。そしてドキドキするんだ・・・」
「ワタル・・・私からも言わせて・・・」
「いいよ・・・」
「私もワタルのことが大好き・・・」
二人の唇と唇は自然に近づきあう。
「リサ・・・」
「ワタル・・・」
その時だった。体育館の真ん中に黒い穴が出てきた。
「あ、あれはなんだ?」
「イグとゼクスを繋ぐ穴ね・・・」
二人は向き合いそして同時に杖を召還した。



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