第3章━〔1〕
黒い穴は見る見る広がってくる。
「リサ・・・」
「でかいのが来そうね・・・本気でいかなくちゃ死ぬわ・・・」
リサは先ほどと違って勇敢な顔をしていた。
黒い穴が体育館の床全体に広がるとそこから闇の住人が出てきた。
まるで、這い上がる様な不気味な動きをしていた。
しかも、出てきた闇の住人は一体ではなかった。次々と穴から這い上がってくる。
ワタルはその光景に鳥肌がたった。
「6体・・・ワタル・・・がんばろうね・・・」
リサもワタルと同じ様に鳥肌が立っていて足が震えていた。
黒く塗られた闇の住人は雄たけびを上げた。
「グギィギイイイイイイイイイイイ」
ワタルとリサはその雄たけびと共に闇の住人に向かって走り出した。
リサは呪文と唱えた。
「メガ・スプラッシュ!!」
すると、杖から大量の水が噴出された。そして、その水は天井に向かって上がり闇の住人目掛けて急落下した。
闇の住人は手を上にあげバリアーを張った。リサの放った水はそのバリアーに接触すると闇の住人の手に吸収された。
「吸収!!嘘でしょ・・・」
リサは闇の住人から距離をとろうとバックステップを踏んだ。
闇の住人は手から吸収した水を噴出した。闇の住人が噴出した水は細くスピードがあるものだった。
「くっ、間に合わない!!」
リサはバックステップを踏みながらも目を瞑った。
「バリアー!」
そして、闇の住人が放った水と接触するとその水は相殺された。
「ワタル、ありがとう!」
「守るって誓っただろ!」
ワタルは微笑みをかすかに浮かべると杖を闇の住人に突き出した。
「メガ・フレア!!」
ワタルが呪文を唱えると炎の波紋が広がりワタルの周りを炎が包み込んだ。
闇の住人はリサの時と同じ様にバリアーを張った。
だが、ワタルを包む炎はそのバリアーを破り闇の住人を襲った。
炎に包みこまれた闇の住人は叫び声をあげながら燃え尽きた。
「ワタル、いつのまにかそんな呪文まで!!」
「リサと特訓したあとも一人で特訓してたんだ。」
ワタルの真剣な顔からリサはワタルのこれまでの努力が伝わってきた。
「リサ、行くぞ・・・残り5体だ!」
「うんっ!」
二人は、また闇の住人に攻撃を仕掛けた。
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