第3章━〔3〕


ワタルはふら付きながらも闇の住人に向かって走っていった。リサはその後に続いた。
ワタルは闇の住人にある程度近づくと呪文を唱えた。
「ウィンド!」
だが、呪文が出なかった。
「ワタル・・・?」
リサはワタルの顔を見た。そこには恐ろしい光景が広がっていた。
ワタルの顔が闇に侵食されていたのだ。
「くっくっくっ、本当はその女にやるつもりだったんだけどなぁ・・・」
恐ろしい笑いと共に闇の住人が集まり人間に似た闇の住人が現れた。
「お前は・・・誰だ!!」
リサは目を丸くして言った。
「私の名前は混沌の結晶『ベテルギウス』体を分裂させて住人6体に化けたが負けそうだったな。作戦失敗だ。」
「ワタルをどうしたのよ!」
「魔力封じの呪いをかけた。その呪いに掛けられている限りは魔力がまったくない状態になるんだ。」
ベテルギウスは笑いが抑えられなくて顔を手で抑えた。
リサはそんなベテルギウスの姿を見て拳を握り締めた。
「どうやれば呪いが解ける!!」
リサは男の様な口調でベテルギウスを怒鳴り散らした。
「私を倒すことだよ・・・ククク・・・ハハハハハハ」
ベテルギウスの笑いが体育館全体に響く。リサは怒りに燃えた。
リサは立ち上がると杖を握り締めた。そしてベテルギウスに向かって呪文をうった。
「メガ・ホーリー!」
リサは憎しみを込めて呪文をうった。
だが、ベテルギウスは軽くリサの呪文を受け流してしまった。
それでも、リサのラッシュは止まらなかった。
「メガ・ブリザード!」
リサは落ち着いた素振りを見せなかった。ただ、ワタルの呪いを早く解いて上げようと言う気持ちだけがリサを覆い尽くしていた。
「はぁああああ!!」
リサはメチャクチャな動きをし、いつもはやらない接近戦をしていた。
必死に杖を振っていたが闇の兵には一発も当たらなかった。
「適当に戦っているだけじゃ駄目だよ・・・」
「うるさい!!うるさい!!ギガ・ホーリー!!」
「小賢しい!!!!ダーク!!!」
ベテルギウスの初級呪文はリサの中級呪文(メガ、ギガ)に相当する威力を誇っていた。
リサの放った呪文はベテルギウスが放った呪文で相殺された。
「まだだ!!」
リサは杖を必死に振り回した。ただ、ガムシャラに振り回した。



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