第3章━〔4〕
ベテルギウスはそんな彼女を見て笑った。
「何度も同じことを言わせるな・・・その少年がどうなってもいいのか?」
リサは躊躇う様に動きを止めた。
「本当の作戦はお前に呪いを掛けてやろうとしたんだがな・・・」
「何でだ!!」
リサは杖を床に突き刺した。
「その少年はお前がいなければ何もできない。だからお前の魔力を封じていっぺんに殺そうとしたんだ。」
「え・・・私がいなきゃ何もできない?」
リサはとまどった。そしてリサは今までのワタルを振り返ってみた。
始めの時はリサがシグナルでワタルを守った。
そして学校でのワタルが魔法使いになる戦闘は・・・
「いやっ、違う!!私は守られた!!!!」
「何をいうか、馬鹿馬鹿しい。」
ベテルギウスは呆れ返った。
「私がいなくてもワタルは!!」
リサは再びベテルギウスに向かって走り出した。
「お前の考えはぬる過ぎる。一回、現実を思い知らしてやろう。今までのその少年の心の中を教えてやる!!」
ベテルギウスは大きく手を上げるとリサに飛び掛った。
そして、リサの頭をつかみ黒い帯を巻きつけた。
リサは頭を押さえつけた。そして、情報が頭の中に送られてきた。
─リサがいないと不安
─怖い・・・一人で戦うのが
─リサ、助けて
─リサ離れないでくれよ
それはすべてワタルの思っていたことだった。
リサは頭に巻かれた包帯の肉体的痛さよりもワタルの心情の精神的痛さを激しく受けた。
「これがワタルの思ってたことなんだ・・・」
リサは肩を落とした。
「そうだ・・・」
「でも、でも私をワタルがいなくちゃ何もできないのよ!!!」
リサは立ち上がった。そして大粒の涙を流しながらベテルギウスに呪文をうった。
「メガ・シャイニング!!!」
呪文を唱えると光が杖から放射され、光は体育館全体に広がった。
「思い知りなさい!!」
リサは光を放射したままベテルギウスに突進した。
だが、ベテルギウスはその光にひるむことなくリサの突進をよけた。
リサはベテルギウスに攻撃をよけられたがスピードがつきすぎていてベテルギウスに背を向けてしまった。
「これで終わりだ・・・サモン・ダークネス!」
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