第4章━〔1〕


ベテルギウスが消えるとリサは倒れこんだ。
「アキもワタルも救えなかった・・・しかもベテルギウスを逃がしてしまった。何で、何でこんなに弱いのよ!!」
涙が何粒も瞳から零れ落ちる。リサはワタルとアキの顔を見た。彼らの顔はどす黒い何かで顔が覆われていた。
「こんな顔になって・・・ゴメンね、二人とも。」
リサは二人の顔を見れば見るほど胸が痛くなった。
そして、自分への怒りが高まった。
「誰も守れない・・・」
リサは自分で更に自分を追い込んだ。
「こんな私なんか、必要ないのかな?」
自分で自分に問い掛ける。
そして、リサは黙り込んだ。この、無言は認めているという意味の無言だった。
「死んじゃったほうがいいのかな・・・」
自分の言ったこの一言で過去を思い出してしまった。
両親が殺された。
一人ぼっち。
死にたい。
孤独・・・怖い。
リサは大声をあげて泣いた。まるで赤ちゃんの様に。
「辛いよ!!死にたいよ!!」
涙がほっぺを降る。そして、冷たさが感じる。
「でも、でもワタルと一緒にいたい!!」
死にたいという気持ちと生きたいという気持ちが入り混じり複雑な思いになる。
そんなとき、ワタルが口を開けた。
「リサ・・・明日ノ戦イ勝っテ・・・・くレよ。」
そう言うとワタルはリサの手を弱くながらも握り締めた。
リサの体中にワタルの手のぬくもりが伝わってきた。
「ワタル・・・」
リサはその暖かさで正気に戻った。
「そうか・・・私ががんばんなきゃこの二人は・・・」
リサは涙を拭いた。
「がんばる・・・そして絶対に明日の戦い勝つ。」
そういうとリサは静かに立ち上がり体育館の窓から青い空を眺めた。
「勝つ、絶対に勝つ!!」
そして、大きな笑みを作った。
誰にも負けないような太陽の様に暖かい笑みを。



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