第4章━〔4〕
リサはその手を振り解こうとしたがもの凄い力でつかまれていてびくともしなかった。
しばらくもがいていると更に手の力が増した。そして、リサの足はベキッという音と共に折れた。
激痛に我慢しならがも、もがいていたら今度は地面に引きずり込まれようとした。
リサはとっさに杖を手に刺した。するとその手はリサの足から離れ地面に吸い込まれていった。
「ヒール!」
自分の足にヒールをかけると杖を構えた。
しばらく杖を構えていると体育館全体が黒い霧に包み込まれた。
「チョロチョロと卑怯な奴ね。」
リサは杖を振り回して霧をはらおうとした。だが、霧はまったく無くならない。
杖を振り回していると杖を何者かに捕まれもう一方の手を更につかまれた。
「くっ。」
リサが手を振り払おうとすると足までもがつかまれてしまった。
リサは完全に身動きが取れなくなってしまった。
「やばいっ・・・このままじゃ。」
リサは何か無いかと辺りを見回した。だが身動きが取れない状態では何もすることができなかった。
じょじょにリサは地面に引きずり込まれていった。
足まで引きずりこまれた、その時だった。杖がリサをつかんでいた手に飛んできた。
その杖は見事に手を貫いた。すると、リサの体をつかんでいたすべての手が地面に引きずり込まれた。
リサは杖が飛んできた方に駆け寄ってみた。
すると、そこにいたのはワタルだった。ワタルは何もいわないでただ立っているだけだった。
顔を侵食されているワタルには口も聞けない、そして目も見えなかった。
「目が見えないのになんで・・・?」
瞬間、黒い槍がリサ目掛けて飛んできた。
「危ないっ。」
ワタルに向かって飛び込み槍を避けた。
そして、安全な場所にワタルを誘導した。
「よしっ、これで落ち着いて戦える。」
リサは再び杖を構えた。
するとベテルギウスの声が体育館に響いた。
「昨日はよくもやってくれたな。今日はたっぷりと絶望を味あわせてやる。」
「うるさい!絶望を味わうのはそっちよ。」
そう言うとリサはベテルギウスに向かって呪文を撃った。
「ホーリー!」
リサの撃ったホーリーは昨日のものとは比べ物にならないほど光が増していて大きさも尋常じゃなく上がっていた。
「パワーアップしてるのはお前だけじゃないんだぜ?」
ベテルギウスは自分からホーリーに突っ込んでいった。
「な、なぜっ自分から!」
ベテルギウスはホーリーと接触するとホーリーが見る見る黒く変色していった。
そして、光が薄くなり完全に闇の塊と化した。
「クックック、凄いだろ?俺・・・」
ベテルギウスは不気味に笑った。
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