第4章━〔5〕

リサは悔しさのあまり歯を食いしばった。
「でも、あんたがいくら強くなっても負けない!!」
彼女は心中に潜めた悔しさを閉じ込め強がりを言った。
「ふっ、そうかまぁいい。いくぞ!!」
ベテルギウスは手と手を合わせその手を広げると槍が召還された。
そして、その槍を振り回しながらリサに接近した。
「ふふふ、どうだ!!怖いだろ、逃げたいだろ!!」
まるで、ベテルギウスの顔は鬼の様になり薄気味悪い笑いを顔中に広げた。
だが、リサはベテルギウスの挑発には乗らず慎重に物事を対処した。
(あの槍、闇に包まれているわ。光属性の術を撃てば破壊できるはず。)
リサは大きく地面を蹴るとベテルギウスに向かいながら呪文を撃った。
「レイ!」
鋭い声で叫ぶと、杖の先から光の無数の玉がベテルギウスの周りを囲った。
だが、ベテルギウスはその玉をまったく気にせずに更にリサに接近した。
「食らえ!闇の一撃!ダークランス!」
ベテルギウスが手にしていた槍の先端は鋭く光りその槍は急に伸び出した。
リサは軽くガード体制に入った。
「攻撃!」
リサが叫ぶと光の玉から何本もの光のレーザーが発射された。
そのレーザーはベテルギウスでは無く彼が所持していた槍に向かって飛んでいった。
光のレーザーが槍に当たると槍はガラスの様に砕け散った。
ベテルギウスは何が起きたのかまだわからず黙っていた。
すると、砕け散った槍の破片の中から杖が飛び出した。
その杖にベテルギウスは避ける間もなく突き刺さった。
「くっ。」
ベテルギウスは歯を食いしばり傷口の肩を抑えた。
「あの自身はどこに行ったのかしら?」
リサは少し笑いながら聞く。
「・・・」
だが、彼は傷口を抑えながら黙ったまま。
「あら、都合が悪くなると黙るわけ?卑怯ね。」
リサがベテルギウスを指差して笑っているとベテルギウスは急に口を開けた。
「この糞女ぁああああ!!いいだろう、本気で殺してやる。」
ベテルギウスは叫びと共に手足が膨らみ破裂した。
そして、手と足の生えていた所から新しい手と足が生えた。
「こ、これは。」
リサは恐怖と不安で体が動かなくなった。リサの眼中にはクモの様な格好をした気持ちの悪いベテルギウスが映し出されていた。
「そウだ・・・コレが俺ノ本当ノ姿ダ。思イ知ルガイイ恐怖ヲ。」



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