第4章━〔6〕

リサはその不気味な声におもわず足を引いた。
「逃ゲルノカ?」
ロボットの様な声、鬼の様な顔、クモの様な体をしたベテルギウスを問い掛ける。
「に、逃げる訳無いじゃない。私はワタルとアキを救うの。」
と、足を引きつつ言う。
「声ガ震エテイルゾ・・・」
ベテルギウスは首を一回転させながら笑う。
リサは唾を飲み込んだ。ベテルギウスの姿を見ると不安、恐怖などのすべてのマイナスな気持ちが圧し掛かってくる。
「うるさい!行くわよ!」
彼女は悔しくなり我武者羅にベテルギウスに飛びついた。
だが、リサの動きは安定しておらず手が震えており視点も定まってなかった。
「ソンナンデ俺ニ攻撃ヲ当テラレンノカ!!」
ベテルギウスはひじをリサの腹に叩き込んだ。
「ぐはっ!」
リサは血を吐きながら床に叩きつけられた。
寝そべりながら腹を抑えて苦しんでる彼女に更に追撃がはいる。
ベテルギウスは口から大量の虫を吐き出した。
その虫はリサを包み込んだ。
「きゃぁあ!」
虫と虫の間から血が飛び散る。
「ソノ虫ハ一度食イツイタラ離レナイゾ!!」
ベテルギウスはリサが息絶えるのを楽しそうに眺めていた。
だが、リサもただ食われているだけではなかった。
「フレア!」
苦しそうに呟くとリサの周りに炎が纏った。すると、炎は虫をどんどん焼き殺していく。
彼女は虫の死骸を気持ち悪そうに払うと杖をベテルギウスに向けた。
「何ノツモリダ?」
首を傾げながら言う。
「これで仕切りなおしってことよ。」
鬼の様な目つきでベテルギウスを睨むなり笑った。
「ドウユウツモリダ。」
「その顔間抜けなのよ。」
リサはベテルギウスを挑発した。ベテルギウスは歯を食いしばるとその挑発にことごとく乗った。
「馬鹿ニシヤガッテ!!」
ベテルギウスはリサに思いっきり飛びついた。
「ねぇ、あんた。まだ光の玉が貴方の周りにあるってこと知ってる?」
リサは口元のみで笑うと指を鳴らした。
すると、その指の音に反応した光の玉がベテルギウスを囲った。
「小賢シイ。」
ベテルギウスは玉を手で払うと更に加速し、リサに接近した。
「食らいなさい光の裁きを。キューブ!」



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