第4章━〔8〕
その鋭い牙はたとえ鉄でさえ噛み砕いてしまいそうなほどだ。
リサは唾を飲み込んだ。
(杖もないのに勝てるわけない。どうにかアイツの体内の杖を取り返さなくちゃ。)
彼女は策略を練ろうとした。だが、ベテルギウスは彼女にそんな余裕は与えようとはしない。
ベテルギウスは大きな手を一振りした。
すると、体育館の壁に手がめり込み壁が崩壊し始めた。
体育館の壁が床に叩きつけられて床に穴があく。
だが、壁にめり込もうが何をされ様がその手の勢いは止まることはない。
手はまるで切れ味のすさまじくいい鎌の様だった。
やがて、その鎌はリサの頭上を通り抜ける。
すると、体育館を明るく照らす照明が落ちてきた。
ベテルギウスは手を振り切ると壁から手を抜きリサの頭上から手を振り下ろした。
リサはそれを飛び込み回避で避ける。
「はぁぁああ!!」
彼女は勢いのあまり床に埋まって抜けない手に蹴りをいれた。
だが、ベテルギウスの皮膚は鉄よりも硬く蹴りはもちろん杖もドリルも何でも歯が立たないほどだった。
「何この硬さ・・・」
リサはベテルギウスの強さを再び思い知った。
ベテルギウスは手をやっとのことで床から抜くと口から大量の槍を吐いた。
その槍は雨の様にリサに降り注ぐ。
彼女はその槍一本一本の抜け穴を探し正確にそのに移動して避けた。
だが、槍の一本が肩に刺さった。槍は肩を貫通し大きな穴が肩にできた。
「うぅっ。」
リサは肩を押さえつけた。そして、少しずつ順調に刺さってる槍を体から抜いた。
その痛みに歯を食いしばりながら必死に耐えた。
「でかいからって・・・調子にのんじゃないわよ。」
リサは片目を瞑りながらもベテルギウスの顔を睨みつけた。
ベテルギウスは人としての心を失い化け物としての心しか残っていないためリサを殺すことしか考えていなかった。
いや、考えられなかった。
だから、リサが睨みつけてもベテルギウスは反応せずにいた。
「今度はこっちの番よ!」
彼女は肩を抑えつつもベテルギウスの顔面に飛び込んだ。
挑発のつもりかわからないがベテルギウスは口を開けたまま呆然と彼女のその姿を見ていた。
「はぁあ!」
リサは足首に捻りを加えより威力を高めた蹴りをベテルギウスの歯に食らわせた。
蹴りの勢いに歯が耐え切れず歯は根元から折れ吹っ飛んだ。
その歯をすかさずリサは取りそのまま体の落下する勢いを利用し、ベテルギウスの手に刺した。
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