第1章━〔3〕


一方、ワタルは熟睡していた。ワタルの寝顔はまったく"罰としての正座中"という、もうしわけなさそうな顔ではなかった。
それから、ワタルはピクリとも動かずに寝続けていた。
だが、その睡眠も先生に妨げられた。
「おいっ、1時間たったぞ。もう帰っていいぞ。」
あいかわらず声はでかいがゆっとりとした声になっていた。
「ん・・・。もう1時間たったんですか・・・?」
目をこすりながら、いかにも眠そうに言った。
「何、目をこすってるんだ?お前寝ていたのか?」
「え・・・いいや、寝てませんよ。目にゴメが入っただけですよ。」
「ならいい。もう時間が遅いから帰れ。」
「はい。」
ワタルはバックをダルそうに持ち上げると下駄箱に向かってノロノロと歩き出した。
下駄箱につくとため息を吐きながら靴を履き替えた。
瞬間、目の前が光に包み込まれた。ほんの一瞬の出来事だった。
「気のせいか?」
ワタルは特に気にもせずにまた歩き出した。だが、また強い光に包まれた。
ワタルはその光を無視し歩き続けた。
だが、しばらく歩き続けた"光華中学校前第四公園"である物にワタルの目が止まった。
「ん?映画の撮影か?」
何者か二人が戦っていた。一人は変な形をした棒を持ち、もう一人は黒ずくめだった。
「SF系の映画か・・・。どうも興味がわかない。」
ワタルはそのまま立ち去ろうとした。
だが、その瞬間変な形をした棒を持っていた方の人がすごい勢いで叩き飛ばされてきた。
「キャァア」
あまりの声の大きさと感情のこもった声にワタルも反応し、叩き飛ばされた人の方を向いた。
「え・・・。」
そこには、ワタルの女友達のリサがいたのだ。
傷だらけになったリサを見てワタルは心が痛んだ。
(何でリサがこんなことになっているんだ。おかしい・・・おかしい!!)
ワタルはリサの元に駆け寄ろうとしたが黒ずくめの怪しい人?がリサをさらに襲う。
(これは人じゃない・・・化け物だ・・・。逃げたい今すぐ逃げたい。でも逃げたらリサが・・・。)
すでに目の前では赤い雫が飛び散っていた。
(いやっ違う。落ち着け・・・あんな化け物がこの世に存在する訳がない。)
息が荒くなってパニック状態になっていたワタルは何も考えずに化け物に向かって突進しにいった。
化け物はリサに攻撃をやめワタルの方を向いた。リサも化け物を見てワタルの存在に気づいた。
化け物は右てを刀の形に変形させてワタルの突進にカウンターをとろうとした。
(ワタル・・・駄目・・・ワタルだけは・・・絶対。)
「はぁあああああああああ!!!」
ワタルは大声を上げた。化け物はその声に合わせて刀を振る体制に入った。



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