次の日、ワタルは自分の席に座って窓を眺めていた。
そこにカズキがノコノコとやってきた。
「よーワタル。」
「・・・」
「おいおい、今日も返事無しかよ。つまんねーな。」
その会話をとぎったのはリサだった。大きな音をたてながら教室のドアが勢いよく開いた。
「リサ・・・」
「おいおい・・・今日のアイツには近づかないほうがいいな。あの殺気はやべぇぞ・・・」
カズキはふたたび、会話を始める。
「お前も、気をつけろよワタル。」
だが、ワタルはリサの方に向かって走り出した。カズキの言うなんかワタルには聞こえていなかった。
昨日の事件で頭がいっぱいになっているからだった。ワタルはリサの肩をつかんだ。
「あれだけの傷を・・・よくこんな一日で・・・。信じられない。」
「当たり前でしょ。私の回復力をあまく見ないでよ。」
「それで・・・詳しい話ってなんだ・・・?」
「屋上で話すから一緒に来て。」
「わかった。」
二人は教室を飛び出した。
「あの二人、いつも以上に仲よくない?」
「そうだよねー、いつもはリサの方からしか話し掛けないのに・・・。」
二人がいなくなると同時にクラスメイトが二人の噂話をする。
「俺もワタル見たいになりたいなー」
「嫉妬かよ。」
クラスメイトはリサとワタルのことは嫌いではなかった。だが、二人がそうゆう関係だということが気に入らないのだった。
そのころ、リサとワタルはそんな話をされてるとは思いもしないで屋上で向き合っていた。
冷たい風が二人の髪を靡かせる。風の音しか聞こえない静かな屋上は寝床、食事の場などのいろいろな利用方法があった。
そして、秘密話をする場所にも使われていた。だれにもその雰囲気を邪魔されず、盗み聞きもされず秘密話にはもってこいの場所だった。
「で、詳しい話ってなんだ?」
「実は私、昨日のことを見てわかったと思うけど『魔法使い』なの。」
「えっ?」
「信じてもらえないかもしれないけど本当。」
「あの化け物は?」
「イグの『闇の住人』っていうの。」
「イグって何なんだ?」
「この世には、『イグ』と言う世界と『ゼクス』と言う世界の二つがあるの。
イグの世界は戦いを求める闇の住人が住んでいるの。そしてゼクスの世界は平和を求める住人が住んでるの。
そして、私たちのゼクスの住人なの。ゼクスは別の言い方でいえば地球。」
「でも、なんでその闇の住人とかいうのがここにいるの?」
「戦いを求めるイグの住人はゼクスまで闇に染めようとしているの。それでここに闇の住人がイグから召還されているの。
そして、イグのやろうとしていることを阻止しるのが私『魔法使い』なの。」
「まぁ、なんとなくはわかった。この事は誰にも言わないよ。」
「ちょっと待って。貴方には私のあの姿を見て、この話を聞いた以上、ある選択をしてもらわなくちゃいけないの。」
「選択?」