第1章━〔7〕
ワタルが呪文と唱えると炎でできた龍が杖から舞い上がった。
その龍は闇の住人を飲み込むと爆発した。
「リサ!!やったぞ。化け物を倒したぞ!!」
「嘘でしょ・・・今まで杖に触れたこともないのにメガ級の呪文を・・・」
「どうしたんだよ?」
「いや、何でもないわ。それより私、ワタル、カズキ君達を回復させるわ。」
「頼む。」
「ヒール」
呪文を唱えると学校全体が魔方陣に包み込まれ、みるみる壊された壁、廊下に倒れていた人達が元通りになっていく。
「すごい・・・。」
「元は防御型の魔法使いだもん。」
「防御型ってほかにもスタイルがあるのか?」
「まぁ詳しい話はあとで私の家でね。」
「あと、俺この戦いでわかったんだけど・・・」
「おーい、ワタル!!!」
カズキがワタルの胸に飛び込んできた。
「よーカズキ。」
「珍しく返事してくれたじゃねーか。なんかさぁ、さっきまで屋上で知らぬ間に寝てたんだよな。」
ワタルとリサは向き合った。
「アイツ覚えてないのか?」
「まぁ、頭でも強打したんでしょう。」
「お二人さーん耳打ちなんて仲いいですね。」
カズキがまたもや間に入ってきた。
(カズキ・・・空気読もうぜ・・・)
ワタルは心の中ではあきれ返っていたがそれを表面には出さなかった。カズキが好きだから。
表面にカズキのことを友達として好いてるということを出すのはワタルにとっては難しいことだった。
感情を表に出すのが下手なワタルはいつも素直になれないで無視などをしたりしてしまう。
「おっと、俺今から塾があるんだた。じゃあなーワタルー」
カズキはそういい残すと走って帰ってしまった。
「よく意味のわからない奴だな。」
ワタルはリサの方を向いて言うと笑って返事を返す。
「とりあえず、私の家に来て。そこで魔法使いのレッスンをするわ。」
「レッスンかぁ・・・やだなぁ・・・」
「大丈夫、普段の学校の授業みたいなシーンとした空気はただよわせないから。楽しくやるよ。」
ワタルはホッとした顔をした。
「じゃあ行くか。」
「うん。」
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